ティール組織ってとにかく非公式で柔軟なイメージありませんか?
組織階層もなければ職務記述書もない。新しい役割が必要な問題や機会をだれかが感じ取ったら自然発生的に役割が生まれます。こうやって生まれた役割はまったく文書化もされなければ公式なお披露目もないのか。そんな疑問を持っていました。
ティール組織の自主経営/プロセスのところを読むと、ビジネスモデルによってはフォーマルなプロセスが設定されたり、役割が細かく文書として記述されることもあると知りました。
逆に、変更や柔軟性が求められる職種や、少量ロットの加工が多い作業などでは、細かな役割も定めないし実績評価や目標も定めていないのです。
約束を文書化することの大切さについて紹介します
約束の文書化を細かく行っている例
約束(コミットメント)の文書化については、トマト加工業者のモーニング・スターではかなり細かく設定されています。
✓PCM(個人のコミットメント、パーソナル・コマーシャル・ミッション)
✓CLOU(仲間向けの覚書、コリーグ・レター・オブ・アンダースタンディング)
といった文書を作成し、自分のコミットメントや権限、業務をこなしていることを確認する指標と改善の意向を表明しています。
モーニング・スター社で個人が作成したCLOU(仲間向けの覚書)は、内容を自身の業務に関わる川上の人と川下の人と膝を突き合わせて話し合います。
川上から確実に正しい投入物を提供してもらうために、川下には自分が約束した半製品を届ける意識を合わせます。
細かな文書化が向く業務と向かない業務
モーニング・スター社がここまで細かく定義している理由は、薄利多売のコモディティビジネスである点が大きそうです。
こうした業態では、柔軟性よりも利益率を1%でも高めるための継続的な改善努力のほうが重要になります。
変更や柔軟性が求められる職種や、少量ロットの加工が多い作業などでは、細かな役割も定めないし実績評価や目標も定めていません。
ピラミッド組織図のかわりになる約束のネットワーク
こうしてできあがった約束(コミットメント)のネットワークは、組織図のかわりになります。
ネットワークは個人と個人の約束がウェブ構造になっていてとても強靭。形式として定められたピラミッドの組織図よりもずっと実態に即していて強力。
終わりに
階層のないティール組織においては、管理職や上司の承認は不要なかわりに、業務で関わり合う仲間の承諾が重要になります。
新しい役割に気づいて任せてもらって仕事を広げて全うし、仲間から評価され給料も増える。社内の地位ではなく、自分の能力と正当な評価による達成感が大事になっていきます。
“融通が利かない”職務記述書や役職はたしかになくすことが望まれるかもしれませんが、約束を明文化し、話し合いによって確実な受け渡しにつなげることで効果的な自主経営が可能になるのだなと学びました。