プロジェクトでWBSを引く時、何のツールを使いますか?
WBSとはWork Breakdown Structureの略で、プロジェクトの成果物を要素分解したものです。
タスクを列挙して日付と担当者とステータスを入れるだけならExcelでも十分ですが、WBS管理の肝は階層と依存関係です。
本記事では、私がWBSを作成・管理する時にMS Projectを手放せない理由を紹介します。
MS Projectとは何か
MS Projectは”MS”マイクロソフトのソフトの一つで、プロジェクト管理を行うものです。
<マイクロソフトのソフト例>
- Word 文書作成
- Excel 表計算
- Powerpoint プレゼン
- Access データベース
- Visio フローチャート作成
- Project プロジェクト管理
これらはどれも、私が働き始めた2001年には既にあり、新人研修でも使い方を教わりました。ExcelやPowerpointに比べると知名度は下がりますが、プロジェクト計画を作り込み、進捗を管理してプロジェクトを成功に導くための重要ツールでした。
WBS管理の特徴は、階層と依存関係
WBSはプロジェクトの工程や成果物を要素分解します。
CRMシステムを導入するプロジェクトを例にすると、以下の工程に分かれます。
- 要件定義
- 設計
- 構築
- テスト
- 導入
しかしこれらは、もっと詳細に分かれていきます。ここで発生するのが階層です。
- 要件定義
- 業務要件定義
- 顧客管理
- 商談管理
- 営業活動管理
- システム要件定義
- 業務要件定義
- 設計
- 外部設計
- 内部設計
- 構築
- コーディング
- 単体テスト
- テスト
- 結合テスト
- 内部結合テスト
- 外部結合テスト
- 総合テスト
- 結合テスト
- 導入
- 移行
- 本番稼働
WBSは、上記のようなおおまかな構成から詳細化していき、最終的には業務一覧やプログラム一覧の各行を構成する要件定義書、設計書を作成する個々のタスクにまで落とし込みます。
ここで発生するタスクの親子関係が階層です。
そして、タスク間には依存関係があります。要件定義が終わって始めて設計に進めますし、単体テストが終わってから結合テストに入ります。
Excelで階層と依存関係を管理する悲劇
Excelでも同じことができそうに思えます。
しかし、見た目上は階層で表現できても、下階層のタスクの工数を合算したり、その工数を踏まえて予定日付に反映するのは簡単ではありません。
さらに、タスクの依存関係を踏まえてクリティカルパス(完了までの最短予定)を算出するのも簡単ではありません。
もちろん数式やマクロで実現できるのですが、階層を増やしたり、依存関係をガントチャートで表現するなど管理したいことを増やす分だけExcelツールのメンテ工数が増えていきます。
MS Projectは階層、依存関係がお手のもの
MS Projectで階層を管理したければ、Alt+Shift+→で階層を下げ、Alt+Shift+←で階層を上げることができます。ガントチャートや見た目のインデントだけでなく、工数や期間の集計もあわせて反映されます。
タスクの依存関係も同様です。Excelの場合は、前提タスクをIdなどで指定して把握するところを、MS Projectは視覚的にも、計数的にも整合をとって管理することができます。
おわりに
本記事では階層、依存関係の管理のしやすさに絞ってMS Projectのメリットを紹介しました。プロジェクト管理は工数、期間だけでなく、コストや人的リソースの負荷なども管理が必要です。
WBSで管理しようとすればするほどExcelのメンテ工数は膨れ上がり、MS Projectの底力を実感することになります。ぜひその魅力を味わってみて下さい。