ティール組織の自主経営の章で紹介されてるプロセスがどうも腑に落ちなかったんです。
なんだか網羅感がないというか構造的でないというか。
あんまり使いたくないですがMECEじゃなさそうというか
以前にこういう記事を書いていまして、
先の記事では、
- 意思決定
- 購買と投資
- 実績管理
- 報酬とインセンティブ
- 紛争の解決
- 解雇
とプロセスになりそうなものを抜き出してみました。他は、それを補う「留意点」(勝手に名づけました)に分けてみました。
しかし、相変わらずしっくりこなかったので、本記事ではこのプロセスを、バリューチェーンの軸で見るとどうなるのか考えてみます。
先に結論をお伝えすると、バリューチェーンでの整理は違う、というのが明確にわかりました。
筋のいい方には、「なんでこんな馬鹿なことしてるんだろう?」という記事かもしれませんが、私の頭はすっきりしたので、もし似た感覚をお持ちの方がいれば参考になるかも!
バリューチェーンとは
バリュー・チェーン(Value Chain)は、原材料や部品の調達、商品の製造や加工、出荷配送、マーケティング、顧客への販売、アフターサービスといった一連の事業活動を、個々の工程の集合体ではなく、顧客に提供する価値(Value)の連鎖(Chain)として捉える考え方です。
考え方を提唱したのは、マイケル・E・ポーターです。1985年に発行した著書『競争優位の戦略(Competitive Advantage)』の中で初めてバリュー・チェーンという言葉が用いられました。
では実際に見ていきます。
バリューチェーン
大きく、主活動と支援活動に分かれます。主活動は、商品製造やサービス提供など生産から消費までの一連の流れに直接的な関係がある活動です。支援活動のほうは、直接的な関係を持たず主活動の支援を目的として行われる活動です。
主活動
- 購買物流
- 製造
- 出荷物流
- マーケティング販売
- サービス
支援活動
- 全般管理(インフラストラクチャー)※経理・総務・情報など含む
- 人事・労務管理
- 技術開発
- 調達
ティール組織の自主経営のプロセスをあてはめてみた
以下のようになります。
- 主活動
- 購買物流 ←購買と投資
- 製造
- 出荷物流
- マーケティング販売
- サービス
- 支援活動
- 全般管理(インフラストラクチャー)※経理・総務・情報など含む ←実績管理
- 人事・労務管理 ←報酬とインセンティブ、解雇
- 技術開発
- 調達 ←購買と投資
そして、以下は上記にあてはまらなかったもの。同時に、全てにあてはまるもの
- 意思決定
- 購買と投資
- 実績管理
- 報酬とインセンティブ
- 紛争の解決
- 解雇
購買物流のプロセスにおいて、意思決定、購買、投資、実績管理・・といった上記のすべては関わってきますよね。
結論、ティール組織の自主経営で紹介されているプロセスは、バリューチェーンの個々のプロセスそれぞれに関わるのです。
つまり、自主経営に関わるプロセスとして挙げられているものを、バリューチェーンの軸で整理する、という試みは大変にセンスのない、無意味な行為だったということがわかります。
さらに、前記事で留意点として別出ししていた
- 暗黙の前提を明らかにする
- 内部のコミュニケーション
- 役割の決定と配置
も同様に、全プロセスに関わることがわかります。
終わりに
自主経営というぐらいですから経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報などの軸で見たほうがよかったのかもしれません。いや、これまたいまいちでしょう。こうした経営資源がどのように最適配置されていくのか、そのあたりも組織に属する人たちの自主経営によって最適化されていくような気がします。
ティール組織、奥が深い。。
そして冒頭のMECEじゃない感って筋違いだったなあとあらためて。
ところで、新卒で入社したコンサルティング・ファームでも、大手ITベンダーもその後に属している組織でも共通して言われる「リーダーシップが大事」というのはこの自主経営に通ずるな、ということがなんか急に腑に落ちました。もちろんオレンジ的な実力主義や説明責任もありますし、グリーン的な権限委譲もありますが、自主経営の発想って取り入れられているように感じます。