ティール組織ではどうやってチーム内の役割を決めているのでしょうか?
組織階層もなく柔軟に役割を決められると聞くと、やっぱり「どうやって?」という疑問が頭をよぎります。
「ティール組織」ではホラクラシーという組織モデルで行われている、ガバナンス・ミーティングというやり方が紹介されています。
ガバナンス・ミーティング6つのプロセスについて紹介します
役割の数や決め方は業態によって向き不向きがある
トマト加工業者のモーニング・スターはティール組織が取り入れられた企業として紹介されていますが、社員一人に一つの役割が決められています。それを自身の約束(コミットメント)として宣言し、関係者と話し合ってすりあわせていくことでまわっています。
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これは、流れ作業が業務の中核にあるためにうまく合っているとされています。
FAVIやビュートゾルフではこのように約束を細かく文書化したり、役割を一つに決めたりはしていません。
チームが自然にできていく組織に合った役割の決め方として紹介されているのが、ホラクラシーのやり方です。
ホラクラシーでは、「人々は仕事を持つのではなく、多くのきめ細かな役割を果たそうとする」と表現されます。
そしてこのきめ細かな役割をつくったり変更したりとりやめたりすることを決めるプロセスが、ガバナンス・ミーティングです。
ガバナンス・ミーティングのプロセス
ガバナンス(統治)・ミーティングは、通常のビジネスを進めるためのミーティングとは別で開催されます(こちらをタクティカル・ミーティングと呼びます)。
ガバナンス・ミーティングは月次など定期的に行われつつも、誰かが役割の追加や変更の必要性を感じたら臨時でも開催されます。
参加者は以下で紹介する6つのプロセスに厳格に従います。その理由は、全員の声を行き渡らせ、一人の意見が意思決定を支配しないようにするためです。
一人がファシリテーターを担います。
- 提案が発表される
- 問題点の明確化
- 反応ラウンド
- 修正と明確化
- 異議申し立てラウンド
- 統合ラウンド
このプロセス、かなり丁寧な印象を受けます。
通常のディスカッションですと、誰かが提案したものに対して、賛成や反対あるいは別の意見を述べて、その結果を合議などのプロセスでまとめていきます。
ガバナンスミーティングのプロセスを細かく見ると、1の提案に対して反対意見が述べられるのは5の異議申し立てラウンドです。さらに討論は6の統合ラウンドまで見送られます。
以下で6つのプロセスを詳細に見ていきます。
6つのプロセスを細かく見ていく
まずは丁寧に問題点を明確化するところから始まり、議論をぶつけ合う前に反応するプロセス、そして反応を踏まえて修正したり明確化するプロセスがあります。
- 提案が発表される
- 提案者が問題と解決策(役割の追加・変更・廃止など)について説明する
- 問題点の明確化
- 参加者が自由に質問する(情報を求めるか理解を深めるために)←ファシリテーターは提案への反応があると質問をやめさせられる
- 反応ラウンド
- 参加者が提案に対して意見を述べる ←ただし討論や意見の発表は許されない
- 修正と明確化
- 提案者が提案内容をさらに詳しく説明
- あるいはそれまでの意見交換に基づいて修正
- 異議申し立てラウンド
- ファシリテーターが、「この提案を採用するとマイナスになるあるいは歩みを後退させる原因はありますか?」と尋ねる
- 反対意見が表明され記録される、が討論は行われない
- 反対者がいなければ提案は採用される
- 統合ラウンド
- 反対意見が出ると、自由な議論を通じて提案者の懸念にも配慮しながら、なるべく反対がなくなるような修正案をつくる方向に議論を導く
- 複数の反対意見が出たら、すべての反対意見がなくなるまでこの手順を踏む
終わりに
ガバナンス・ミーティングが浸透すると、ポストをめぐって戦闘態勢に入ることもなくなる、とあります。毎月チーム内で少しずつ役割の最適化が行われるので、なりたい役割が当面お預けになってもそのうち実現するだろうと、リラックスしていられる、というのは健全な感じがしますね。
ところで、5分ずつ読書を続けてブログ記事にする試みが50日目を迎えました。100日続けることを目指しているのでちょうど折り返し地点です。1日に2冊ずつ読み進めて始め、途中から1日おきにティールとサービスマーケを読み、今はティール組織に絞って読んでいます。
ティール組織は、社内外の組織に取り入れるため、というよりも自身のパラダイムを更新したり、全体性を発揮できるようになりたくて読み続けています。