自著出版に際してのマーケティング実例(セグメンテーション/ターゲティング)

自著出版に際してのマーケティング実例(セグメンテーション/ターゲティング)

以前の記事でマーケティングとは何か、どんなプロセスで行うのかを紹介しました。お伝えしたかったのは、いわゆる販促やキャンペーンはあくまでもマーケティング施策の一部ということでした。

その前段階で市場(マーケット)をどうとらえて、自社の商品やサービスをどう売り出していくかを定めるほうがより重要です。

ここで市場の設定を間違えてしまうと、施策を工夫したところで挽回は難しくなります。本記事では、このセグメンテーションとターゲティングの実例を紹介します。

実例としては、近日出版予定の「システム導入のデータ移行に関するノウハウ本」を題材にします。そのため正解である保証はありませんが、切れば血が出る生身のマーケティングです。

市場を定義する

この本はどういった市場に投入するのでしょうか。データ移行市場などというものはありません。システム開発ノウハウの一種と捉えて、どういう市場になるのか考えてみます。

この本は、出版形態が特殊です。POD(Print On Demand)の形式で紙版の入手も可能ですが、Kindle版が主になります。そこで、書店の棚割りに相当する、AmazonサイトのKindleのカテゴリーを参照してみます。

上記のカテゴリで一番近いのはコンピュータ・ITでしょう。続いてサブカテゴリを見てみます。

サブカテゴリでしっくりくるものはありません。しいていえば一般・入門書でしょうか。いったん上位階層のコンピュータ・IT市場と定義しておきます。

提供している価値を定義する

コンピュータ・IT市場に本書はどんな価値を提供するのでしょうか。

著者自身の狙いからすると、

システム導入におけるデータ移行タスクの品質・生産性の向上

を提供できると考えています。

顧客層(想定読者)は、以下のような方を想定しています。

  • ベンダー側のデータ移行チーム担当者
  • ベンダー、ユーザ両者のプロジェクトマネージャやPMO
  • データ移行を成功させたい方、失敗させないために考慮点を知りたい方

企業では数々のシステム導入プロジェクトが遂行されています。極論するとそのプロジェクトの数だけデータ移行タスクは存在します。新システムがカスタム開発だろうとクラウドだろうと、現行業務からの何らかの移行は発生することがほとんどだからです。

そのデータ移行タスクを担当する人のうち、ノウハウを一般公開されている書籍を通じて成功させるために考慮すべき点や失敗させないための注意点を知りたい方が対象になりうると考えられます。

著者の経験がCRMパッケージ導入が主のため、扱う移行データに偏りはあるものの、汎用化を心がけて書いているため、これらの市場を対象としても不都合はないと考えます。

とはいえ執筆以前に厳密なマーケティングはしておらず..

執筆の動機が自身の苦労した経験のダンプアウトにあるため、事前の市場推定などは行っておりません。ただし、Kindle主体の低コストな出版形態とはいえ、出版社で企画採用頂いてという意味では一定量のニーズはあると判断頂いたのかなと思います。

いわゆる事業単位でのマーケティングでは、対象とする市場を複数定義し、複数存在する商品やサービスのカテゴリとマッピングし、注力するところを絞り込みます。これがセグメンテーション後のターゲティングにあたるわけですが、今回の事例では既に本を執筆済みのため、割愛します。

次記事では、対象とする市場で本書をどうポジショニングしていくかを考えてみます。

自著出版に際してのマーケティング実例2(ポジショニング)

このブログを書いている人
電子書籍「システム導入のためのデータ移行ガイドブック」著者。 新卒から外資系コンサルティングファームに所属。15年に渡り販売物流、特にCRM領域のコンサルティングに従事。 100名を超えるプロジェクトのPMOなど全体を推進していく役回りや、ユーザ企業への出向を通じた実務経験を持つ。

このブログでは、自身がかき集めた知識や経験を共有する。クライアントへの提案やソリューション開発に直結しないガラクタのようなもの。将来再利用する自分のために。同じような悩みを抱える誰かのためにブログ「元外資系コンサルのガラクタ箱」を運営