若い頃から工数を多めに積んだりして自分の身を守ることが本当に苦手でした。でも積んだ工数を提供するのは全て自分というわけにはいきません。過小見積もりはそのままメンバーの首をしめることになってしまいます。
本記事では、データ移行チームの工数を見積もる上で重要になる、データ件数と項目数について紹介します。
データ移行の見積もり単位はデータ種類と人
システム開発の見積もりを行う際には、似た規模で類推見積もりを行います。移行対象データが何種類あるかを元に類推を行います。移行データが10種類ぐらいなら1人でいいかな、とか複数システムが移行元で50種類ぐらいあると3人いればいけるような、きついような、など。
ここで移行に関する見積もりの精度はよほどの経験者でなければ高くありません。ただ無理に高くなくてもいいのでしょう。システム開発全体の見積もり精度を考えると、移行に関する領域はごく一部だからです。
移行チームリーダーは件数と項目数も視野に入れる
RFPが発行されベンダ選定が完了すると、システム開発プロジェクトが立ち上がります。要件定義フェーズになるとデータ移行チームが立ち上がり、チームリーダーが任命されます。ここで移行チームに配属された方は、自分達の担当スコープである移行対象一覧や前提になる移行方針を目にすることになります。
この一覧には、ざっくりデータの種類が書いてあることが多いです。しかしひとことで顧客データといっても様々です。財務情報や外部購入データも含めて顧客情報として管理している場合は、データ量も項目数も多くなります。
まずは自社のPMもしくはお客様の担当者に聞いてみます。
Q:顧客データの項目数と件数はどれぐらいですか?
A:だいたい主なもので数十項目、顧客数は10万件ぐらいです。
このやりとりを踏まえて数十項目の単一テーブル同士の移行データが10万件程度あると見積もるわけにはいきません。
顧客データの数≒顧客数です。
顧客数をキーに、顧客にまつわるデータに応じて件数は増えていきます。顧客ごとの月間取引数を持っていれば、対象期間が5年だとしても、顧客数×12か月×5年と顧客数の60倍のデータ件数を移行することになります。
先の10万件は600万件の移行データも備えることになるのです。
項目数は20件程度とのことでしたが、こちらもあくまで顧客の基本情報テーブルの主な項目を指しているだけと想像されます。
少々極端な例ですが、基本情報テーブルは30項目でしたが、それ以外の各種データを含めると15くらいの子テーブルがあり、500項目を超える移行データが対象だったこともあります。
件数と項目数を洗い出すために入手したいもの
項目数を洗い出すためには現行システムの設計書を入手するのが一番です。設計書がなければデータベースの定義署でも構いません。いずれにしても、対象データの種類とそれぞれの項目数、あとは項目のバイト数がわかるものを入手しましょう。
件数についても、現行システムのデータ件数を取得してもらうのがよいです。ただしこちらは、何年かけてそのデータ件数に至ったのかを、初期データ件数と年間の更新データ件数に分けて取得するのが望ましいです。業務システムならレコード作成日付を持っているはずですので取得可能です。追加移行などのノイズもありうるので、年別に件数をとっておき傾向をつかんでおくとよいでしょう。