ティール組織には重要でない人はいない、と聞きます。
組織にいる人に、階層や区分けを持たないのは賛成できます。
しかし、組織内に秘密はない。それは最も機密性の高い、例えば財務や給与や成績などのデータも含む
と言われるとどうでしょうか?
私は不安が拭えません。
組織に関わる人みんながその情報を悪用しないのか。具体的にどんな悪用かが想像できないにもかかわらず不安です。
ティール組織を実践するAESやビュートゾルフ、FAVI、サン・ハイドローリックスなどの企業では、イントラネットを用いて全員が情報閲覧が可能になっていたり、全員参加の会議を通じて情報共有や意見交換が可能になっています。
ティール組織があらゆる情報を共有できる理由
ティール組織の第Ⅱ部第3章 自主経営/プロセスの「内部のコミュニケーション」では、あらゆる情報を共有できる理由を3つにまとめています(ビュートゾルフの例にて)。
- 組織階層が存在しないので、どのチームも最善の判断をするにはあらゆる情報を得る必要がある
- 情報が公表されないと疑念を生む。疑念は組織への信頼にとって有毒
- だれかが知ってだれかが知らないと、非公式な階層が再び現れる
こうした極端な共有を行った結果、社員の多くがインサイダー情報を知り得てしまうという問題に直面したのがグローバルに電力業を営むAESです。通常5-10人しか知り得ない情報を数千人が知れるようになったAESでは、社員に2つの選択を委ねました。
- インサイダーとみなされずにAES株の売買ができるよう情報閲覧権の制限を望むか
- インサイダーにとどまるが財務情報を完全に閲覧できることを望むか
すると、圧倒的な数の社員が後者を選んだそうです。
ティール組織の情報共有方法
AESやビュートゾルフ、FAVI、サン・ハイドローリックスなどの企業では、情報を中央保管する形でイントラネット(社内ネットワーク)を使って情報共有をしています。イントラネットにアクセスすることで、組織の誰もが、リアルタイムで閲覧や発信をすることができます。
また、会議にも特徴があります。組織の会議には、四半期決算、価値観の調査、戦略の重要な節目など様々なテーマがありますが、それらを全員参加の会議で行っています。また、一方的なトップダウンではなく、参加者からの質問に応じて会議の方向はどこにでも向かいます。
これだけ聞いていると冒頭にも挙げた不安がやっぱりよぎります。
しかし、ティール組織では、そのリスクの中にこそ、
- 組織が拠って立つ前提を再確認する力
- 信頼で結ばれた共同体を強化する力
が眠っていると言います。
このあたりは、なるほどティール組織すごいな、というよりも、実際できているのはわかったけど自分がその場にいたら心理的な抵抗がぬぐえない。これを解く鍵が、後からでてくる全体性とか存在目的になるのだろうか、と興味がわきます。
終わりに
今までコトラーのプロフェッショナル・サービス・マーケティングとティール組織を並行して読んでいましたが、ティール組織のほうを優先して読むことにします。集中して読み進めたくなってきました。