「遊ばせとくんですか」なんて言葉は二度と聞きたくない(5分読書#45)

「遊ばせとくんですか」なんて言葉は二度と聞きたくない(5分読書#45)

「プロジェクトメンバーが安心して活躍できる場をつくるためにプロジェクトマネジャーにできること」という記事に書いたのですが、協力会社のメンバーの直近作業がない時に、「遊ばせとくんですか(そんなことするなんてもったいない、何かやらせましょう)」ということが口ぐせの人がいました。

もちろんフィーを支払っているので、自社が払っているコストを無駄にしない、最大限の効果を出す、という発想を否定はしません。

しかし、お客様は神様でもなんでもないですし、雇われるメンバーは家来でもなんでもありません、対等な人間同士です。

冒頭で例にした人は、人は怠け者であり監視しないとサボるものなので、作業を与えておかないと何もしないあるいは遊んでしまう、と考えているのだと思います。

これは1960年代にMITの教授であるダグラス・マクレガーが提唱したX理論というものにあたります。

その反対のY理論というのもあります。こちらは、労働者は意欲的で、自発的で、自制心を発揮できる、というものです。

この理論は、何度も検証を重ねた結果、どちらも正しいという見解に達したそうです。

つまり、信頼をもって接すると責任感ある態度でその信頼に応えようとするし、命令、規則、罰則で従わせると、制度を出し抜こうとするというのです。

恐れは恐れを生み、信頼は信頼を生みます。

ティール組織の自主経営(セルフマネジメント)を実践している企業は、こうした暗黙の前提を、はっきりと口にするようになりました。

AESでは、社員は創造的、思慮深く、信頼に足る大人、と表現しますし、FAVIも、当社の社員は信頼でき、意欲的で、頼りになり、知的 と表現しています。

このように信頼を明言しながら試行錯誤を重ねることで、統制ではなく信頼にもとづく思考パターンが組織に根づいていったようです。

ティール組織の考え方がしっかり取り入れられる組織は多くないとしても、人を尊重し合える関係で仕事をできる組織がひとつでも多くなることを切に願います。

当時「遊ばせとくんですか」を発していた人も、今はその言葉の意味に気づいてくれてることを願います。違った形で協力会社のメンバーに接していてくれたら。

ティール組織の内部コミュニケーションはどうなっているか(5分読書#46)

このブログを書いている人
電子書籍「システム導入のためのデータ移行ガイドブック」著者。 新卒から外資系コンサルティングファームに所属。15年に渡り販売物流、特にCRM領域のコンサルティングに従事。 100名を超えるプロジェクトのPMOなど全体を推進していく役回りや、ユーザ企業への出向を通じた実務経験を持つ。

このブログでは、自身がかき集めた知識や経験を共有する。クライアントへの提案やソリューション開発に直結しないガラクタのようなもの。将来再利用する自分のために。同じような悩みを抱える誰かのためにブログ「元外資系コンサルのガラクタ箱」を運営