物々交換から貨幣紙幣そして金融へ(インベスターZに学ぶお金の歴史)

物々交換から貨幣紙幣そして金融へ(インベスターZに学ぶお金の歴史)

「そもそもお金って… いつの時代に誰が作ったんでしょうね」(財前孝史)
(インベスターZ 1巻より)

主人公の財前孝史は、投資に関して学び始める時に、ふと上記の疑問を先輩に投げかけます。

  • 大昔には物々交換が当たり前だったのを、お金と物のやり取りに変えた人がいた。
  • その人のおかげでいろんなことが便利になって社会が急速に発展した。
  • その人の人類に対する貢献度は計り知れない

そんなことを考えます。さすがに個人までを特定するのは難しいとしつつも、蓮先輩はおもむろに解説を始めます。

お金のなかった時代の課題と解決策

農耕民族の誕生はおよそ1万年前、お金が生まれて流通し始めたのが4500年前
→つまり人間は5500年間もお金のない社会にいたんだ

お金のない社会では、欲しい物を持つ人同士が直接会って物々交換をしていました。

それが当たり前でした。

このやり方には2つ課題がありました。

  • 自分が欲しい物を知ってる人を見つけるのが大変(需要と供給のマッチング)
  • 保存のきかないものは無駄になってしまう

そこで、物の代わりになる”価値”を決めて、それを交換の道具にするようになっていきました。

交換するにあたっての基準になるのが単位です。

単位は地域ごとで、植物なら麦、米、トウモロコシ。動物なら牛、豚、トナカイなどの家畜。鯨の歯、貝殻、毛皮、羽毛などが使われたようです。

avatar

なるほど硬貨や紙幣、金や銀になる前にまずは身近な大切なものから定めていったのですね

お金が知らない者同士の信用を可能にした

人間にお金という概念が加わり何が変わったでしょうか。

日々の食料確保から解放された人間は、考える時間を手に入れました。

深く考え智恵を持ち知識を蓄えるという、生き物の中で人ならではの高度な能力。

さらに興味深いのは、「お金は言葉 コミュニケーション」という言葉です。

お金は、知らないもの同士や言葉が通じない者同士を結びつけられる唯一の道具なんだ

お金が存在する以前は、知らない者は不信の対象で、相手が物を持っていても交換が成立するまでは疑いと不安がつきまといました。しかし、お金の出現によって、見ず知らずの人間でも会ったその場で信用し合えるようになりました。

信用が人々にもたらした変化

人と接することに安心感が生まれると、人と会う機会が増えます。

会話が活発になると、新しい言葉が増えます。人と話すことが楽しくなります。

人々はコミュニケーションをとって暮らすようになりました。

「人と人が出会い 信じ合い 認め合い 愛し合い
つながり合って 豊かな社会へと 発展させていった
お金は心と心を結ぶコミュニケーションのことなんだ」

持ち運びしやすい硬貨の登場による飛躍的な変化

人と人との交流は進むと、制約事項が変わりました。

  • 麦や塩や羽が持ち運びに不便だったこと
  • 品質にばらつきがあり、交換レートを定めるのが難しかったこと

紀元前600年、ギリシアのアテナイでコインの流通が始まりました。

それまでに様々なコインが存在した中で、アテナイのコインが国際的に広く流通した理由は、発行元が品質を保証したからと言われています。

発行したコインにフクロウの刻印を押し、純銀4グラムの重さがあるという保証をしたそうです。

これにより、市民は安心して硬貨で取引するようになりました。

経済は飛躍的に拡大し、人口も増加。

硬貨の生産量の制約を経て、存在しない価値を信用する時代に

また制約事項が変わります。今度は硬貨の流通量に対して生産量が追いつかなくなります。

アテナイが衰退した次に地中海の覇者となったのが、ローマ帝国。

古代ローマ帝国が発行したデナリウス銀貨は、最初こそ98%の純度だったものの、徐々に銀の純度を下げていったそうです。

最後は2%にまで下がり残ったのは刻印のみ。

こうして社会は存在しない価値を信用する時代に突入した

ローカル通貨の時代が終わる大航海時代

人類史上初の世界通貨はペソと言われています。

船舶建造の技術が進化し、航海術が向上したことでヨーロッパの国々は大海を渡り、貿易が拡大しました。

スペイン無敵艦隊は、南アメリカ大陸で銀山を手中に収め、膨大な量のコインを発行し世界通貨を確立しました。

しかし有限の金属を材料にしている限り、埋蔵量が制約になるのは時間の問題です。

その時期、錬金術が流行ったのは興味深いですね。しかし錬金術も不要になるパラダイムシフトが、紙幣発行。

硬貨から紙幣、そして金融へ

金との交換を保証する書類として紙が使われていたからか、意外に早く紙幣は浸透します。

物理的な移動による経済の拡大をさらに膨らませたのが金融です。

金融のシステムは大航海時代に整備が始まります。

大きなリスクを伴った航海は、難破で一人が大損するリスクを避け、資金を出し合いリターンを共有しました。

1602年オランダの東インド会社が世界初の株式会社を設立しました。これが投資事業の始まりと言われています(諸説はあるようですが)。

いかがでしたでしょうか。

本記事では、マンガ「インベスターZ」の1巻で、道塾の先輩達が財前に解説してくれるお金の歴史を紹介しました。今の経済の仕組みや、歴史の授業で習ったことがつながり、とても面白かったです。興味わいた方はマンガも手にとってみてください。

このブログを書いている人
電子書籍「システム導入のためのデータ移行ガイドブック」著者。 新卒から外資系コンサルティングファームに所属。15年に渡り販売物流、特にCRM領域のコンサルティングに従事。 100名を超えるプロジェクトのPMOなど全体を推進していく役回りや、ユーザ企業への出向を通じた実務経験を持つ。

このブログでは、自身がかき集めた知識や経験を共有する。クライアントへの提案やソリューション開発に直結しないガラクタのようなもの。将来再利用する自分のために。同じような悩みを抱える誰かのためにブログ「元外資系コンサルのガラクタ箱」を運営