昨日の記事で紹介した日経SYSTEMSの記事にプロジェクトで出火した時にプロジェクト・マネージャーがとるべき12の対策が紹介されています。
本記事では12の中で最重要とされる「大局を見る俯瞰図の作成」について、どのようなものがあるか紹介します。
出火時にプロジェクト・マネージャーが取るべき対策
- 大局を見る俯瞰図の作成
- サービスの段階的リリース
- オーナーとコントラクタ間のコミュニケーションの確立
- PMO(プログラム・マネジメント・オフィス)の設置
- 作業計画の並列化と可視化
- 作業品質、環境品質、方式品質の管理
- サービス開始委員会の設置
- PMスタッフの配置
- プロジェクト体制の「兼務」の中止
- メンバーのモチベーションの向上
- 自分を客観的に見る能力
- 営業/SEとプロジェクト・メンバーのコラボレーション
プロジェクト全体を把握するための俯瞰図
本記事では真っ先に必要になる俯瞰図について紹介します。
PMとしてプロジェクトを把握しようとした時に入手したい俯瞰図は以下の通りです。
- 開発スケジュール
- マスタースケジュール(フェーズ、マイルストーン)
- WBS(チーム・担当者ごとのタスク、予定/実績)
- ステークホルダー(利害関係者)
- プロジェクト体制
- チーム、役割
- 要員遷移
- システム構成(HW、SW、NW)
- 業務プロセス
- システム機能
- コスト(予算/実績)
プロジェクト開始時や提案時に作成したものから更新されないこともありますが、炎上を防ぐためにも、炎上時の早期把握を可能にするためにも、PMOや内容を把握しているチームリーダーに役割を設けてタイムリーに更新しておきたいところです。
俯瞰図を通じて火種の要因(ドミナント・アイテム、危機の支配的要因)を把握することは、IPAのITプロジェクトの「見える化」でも挙げられています。
ITプロジェクトの「見える化」では、
- システム構成俯瞰図
- ステークホルダー俯瞰図
- スケジュール俯瞰図
- 要員遷移俯瞰図
があがっています。上記の俯瞰図リストに含まれてはいますが、より開発現場の実態を把握するのに近い観点で絞られているように思います。
プロジェクトの俯瞰は、プロジェクト・マネージャーに限らず、ITアーキテクトでも同じです。「ITアーキテクトはA3用紙に図解する」では、以下の俯瞰図が紹介されています。
- システム構成比較表
- 課題マップ
- 機能配置図
- 処理方式図
- システム基盤構築ストーリー
- テスト範囲図
- システム移行ストーリー
- 接続切り替え概要図
おわりに
俯瞰図は炎上してから作るものではありません。プロジェクト開始時の成果物定義時に、最新化の運用プロセスも含めて定義し、最新化を徹底することが火種に気づきトラブルを未然に防ぐことにつながります。