「照らす先が半歩な理由」という記事の続きです。
「半歩先を照らしていると、そこまで到達したことを実感しやすい」と書きました。
しかし照らしただけで実感は得られません。
必要になるのは、どんなに歩幅が小さくても踏み出すこと。
そして、その歩幅を測るモノサシです。
適切なモノサシがあると何がいいか
大きさを測るためには定規や巻き尺、重さを量るにはキッチンスケールや体重計があります。
ウェストサイズや体重を例にした時、巻き尺や体重計を使って測定を続けると変化を可視化できます。
適切なモノサシがあると、以下のようなメリットを得られます。
- 前に進んでいる実感が得られる
- だからやる気が出る
- 軌道修正もしやすい
前に進んでいる実感を得られるとやる気も出ますし、こまめな軌道修正もしやすくなります。
一方で、未知の領域に踏み出す時の歩幅は小さかったり、少し進んでまた戻ったりを繰り返すことは珍しくありません。
社内外問わず、自分が提供できる価値はこれかな、と感じて何かを始めたとき。
結果の大きさや完成品に目を向けていると今の自分がとても小さく感じたり、やっていることの変化が全く実感できなくなりがちです。
要件定義と設計開発とテストで異なるモノサシ
システム開発を例にあげます。
システム開発の進捗把握の方法はフェーズによって異なります。
大きく、
- 要件定義
- 設計・開発
- テスト
と分けられますが、それぞれで進捗を測るモノサシは変えるのが普通です。
結果としては「ユーザーが求める新しいシステム」につながるのですが、
要件定義フェーズでは要件一覧を元に、要件定義ドキュメントの完成を測ります。
設計開発フェーズでは、定義された要件を元に分割された機能ごとの設計ドキュメント、またさらに分割されたプログラムごとのドキュメントやソースコードの完成を測ります。
テストフェーズでは、作られたプログラムや機能が設計通りに動作したり、要件を満たしていることをたしかめるためのテスト項目とその結果から得られる品質を測ります。
本を書く時に使うモノサシ
システム開発の考え方は本を書く時にも応用できます。
本を書くフェーズは大きく3つに分けられます。
- 企画
- 執筆
- 校正
すると、企画は要件定義であり、執筆が設計開発、校正がテストとそれぞれ対応させることができます。
企画段階では、本を通じて読者に届けたいものが何か、想定読者は何に困っていて何を受け取ることができるのかを明らかにし、それを章立てに分けて整えていきます。企画書や目次とおおまかな内容を揃えることが大事です。検討には切りがない面もあるので、編集者さんとの打合せの回数や時間を目安にすることもできます。
執筆段階では章立てにもとづいて中身を作っていきます。ここでは文字数、ページ数、挿入予定の図や表の数がモノサシにしやすいです。ページや一定量の文字数に対する単位時間を基準にして生産性を測ることもできます。
校正の段階では、既に文章や図表は揃っているので、誤字脱字がないかや流れでおかしいところがないかをチェックし、修正点をリストアップしてつぶしていきます。内容面での追加や変更もきりがないですし、一箇所変えることの影響もいろいろあるので、仕上げを意識して測ることが大事になります。
また、システム開発も本の執筆も、かけた時間とお金は共通して測定することができます。
これを組み合わせて測定して管理するのがEVM(アーンド・バリュー・マネジメント)です。
終わりに
半歩先の進歩を実感するには適切なモノサシ選びが大事です。結果だけでなく過程も、全体だけでなく部分にもライトが当たるよう、モノサシの使い方も紹介していきたいと思います。
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