元外資系コンサルのガラクタ箱

プロジェクト管理の強力な武器EVM

プロジェクトマネジメントには様々な技法が用いられます。その中でとっつきにくいが強力なのがアーンドバリューマネジメント(Earned Value Management, 略してEVM)です。

プロジェクト管理の主要素であるスケジュールとコストの両方を定量的に扱うことができるのが特徴です。

EVMとは

EVMは、アーンドバリュー(実際に完成している(稼いだ)実績値(出来高))を管理します。

進捗管理は日数や工数で管理することが多いですが、ここでは単位をコストに統一します。

統一したコストの単位で、実際に完成している実績値をアーンドバリュー(EV)と呼びます。

アーンドバリューを管理するのに使う指標

そして完成させるために必要なコストを設定します(Budget At Complete, BAC、完成時総予算)。

これをスケジュールに分解したものが計画上の出来高(Planned Value, PV)です。プロジェクト期間の何日目にどこまでの出来高になるかが決まります。

これらを計画の基本(ベースライン)とします。

BACを超過すると予算超過、EVがPVを下回るとスケジュール遅延、のように状態として望ましいかどうかを評価する基準になります。

現時点の実績としては、EVとは別に実際にかかった実績値(Actual Cost, AC)も使います。

PVよりもACが上回っていると、現時点でコスト超過していることがわかります。

PV=EV=ACがオンスケジュール、オンバジェット、進捗も使ったコストも計画通りということになります。

EVをみてからACをみる

管理の仕方としては、EVがPV以上になっているかをまず確認します。

EVがPVを下回っていたら、なぜ遅れが発生しているのか原因を担当チームのリーダーや担当者に確認します。

今度はACがPVを上回っていないかを確認します。

遅れが発生していてかつACもPVを下回っているなら、何らかの理由で当プロジェクトにコストを割くことができていないことがわかります。

前工程や、兼務しているプロジェクトなどがないかを確認が必要です。

ACがPVを上回っていると、プロジェクトのためにコストは割けている(作業はできている)ようですが、計画よりも多くかかっています。

何らかの理由があってあえて多めに投入している場合もあるのでリーダーや担当者に確認はしつつも、全体の計画コストを見たときに足りなくなってないかの確認も重要です。

ACより先にEVを見るとは書きましたが、EVがPVを上回っていてもACも上回っている場合は、最終的なコスト超過にならないか確認は必須です。

終わりに

EVMではこのように、計画をBACやPVで、進捗をEVとACで表現することで、定量的に進捗とコスト状況を把握することができます。

規模が大きくなればなるほど、リーダーやプロジェクトマネージャーは細部まで把握することは難しくなります。EVMを用いることで、共通の物差しでプロジェクトの状況を測定・評価し、速やかな原因究明や対策立案に入ることが可能になります。

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mhisaeda

電子書籍「システム導入のためのデータ移行ガイドブック」著者。

新卒から外資系コンサルティングファームに所属。15年に渡り販売物流、特にCRM領域のコンサルティングに従事。 100名を超えるプロジェクトのPMOなど全体を推進していく役回りや、ユーザ企業への出向を通じた実務経験を持つ。

このブログでは、自身がかき集めた知識や経験を共有する。クライアントへの提案やソリューション開発に直結しないガラクタのようなもの。将来再利用する自分のために。同じような悩みを抱える誰かのためにブログ「元外資系コンサルのガラクタ箱」を運営。

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