元外資系コンサルのガラクタ箱

Salesforceでフォーキャスト管理がしづらい理由

Salesforceは世界シェアNo.1で15万社以上に導入されているCRM(顧客管理)ツールです。選ばれるに値する豊富な機能が揃っています。なのにSalesforceでフォーキャスト管理(売上見込の管理)がしづらくて結局Excelやスプレッドシートベースの個別レポートを作っていることはありませんか?

私はこれまでのCRM導入プロジェクト経験や自社での営業管理の経験から多くの個別レポートを見てきました。導入する側に立つと、投資に見合うだけの利活用がなされるかが気になりますし、使う側に立つと同じ画面でサクっと見られたら楽なのになと思いますよね。

でもそもそもなんでフォーキャストをうまく見られないのだろう?

本記事では、CRM、契約管理、売上管理のシステムが持つデータの違いにも触れながら、なぜSalesforceでフォーキャスト管理をしづらいのかを紹介します。

フォーキャスト管理とは

例として1億円のプロジェクトの受注をしたとします。プロジェクト期間は10か月。

案件管理システムでは受注金額としての1億円はあるのですが、これはどのように売上として計上されるでしょうか。

いくつか考えられるのは、毎月均等に計上されるもの。これだと1000万円ずつ10回、毎月計上されることになります。

あるいは、四半期などもう少し大きなくくりで計上されるもの。プロジェクト工程に分けられることも多く、例えば2か月で2000万、4か月で3000万、残りの4か月で5000万のように分かれたりします(期間も金額もあくまで一例です)。

フォーキャスト管理とは組織目標としての売上金額達成に向けて、受注前の案件に加えて受注後の売上見込も管理するのがフォーキャスト管理です。
関連記事:自社に利益を還元するレベニュー&プロフィットマネジメント

Salesforceには契約や売上のデータはない

Salesforceは営業支援のシステムです。ひとくくりにすると既に取引のあるお客様や、これから取引をしたいお客様とのやりとりを一元管理しています。そのため、顧客、担当者、活動、案件などの切り口で情報を管理できるのですが、案件データは受注するまでのプロセス管理を主としています。その後、各案件でどのように売上があがっていくかや、既存取引も含めて四半期や毎月どのように売上があがる見込みかはこのデータだけではわかりません

その理由は、案件管理システムには最終的に契約した時の売上計上予定までは入力しないからです。また、工事進行基準で段階的に売上を計上していき最終的に契約金額の全てを売り上げたのか、利益はどうなったのか、というデータもありません。

これらは契約や売上を管理するシステムでデータを持っているため、仮にSalesforceの画面上で表示させようとすると、別システムのデータを連携することが必要になります。

Salesforceには一定期間ごとの断面データはない

営業会議などでフォーキャスト管理をする時には、前の会議の時からの変化点を確認しながら状況判断を行い次のアクションを決めていきます。

Salesforceには案件ごとの変更履歴は見られますが、前回会議時点での部門別や顧客別のフォーキャストと比べることはできません

その理由は、前回時点でのフォーキャストを見るためには、その時点での案件データが必要になるためです。

SalesforceでRevenue Planを入れる機能がないわけではない

Salesforceにも、案件データに対してどういうRevenue Plan になるかを入力する機能はあります。ただし、最終的な契約を別システムで管理するとなると、Salesforce側でも細かく入力や変更を行うのは二重管理で非効率的です。

終わりに

Salesforceが顧客情報を管理する統合システムなのにフォーキャスト管理がしづらい理由を見てきました。システムとしての機能が足りないわけではなく、営業活動を管理するシステムなため受注後の契約や売上データまでは持っていないこと、また多くのユーザで同時更新するシステムのため過去断面のデータを持っているわけではないことの2つが大きな理由です。

解決策は、これらのデータを合わせ持つデータウェアハウスやビジネス・インテリジェンスツールを使うこと、あるいは簡易的にExcelやスプレッドシートでレポートを作成することになります。

解決策については別記事で紹介します。

mhisaeda

電子書籍「システム導入のためのデータ移行ガイドブック」著者。

新卒から外資系コンサルティングファームに所属。15年に渡り販売物流、特にCRM領域のコンサルティングに従事。 100名を超えるプロジェクトのPMOなど全体を推進していく役回りや、ユーザ企業への出向を通じた実務経験を持つ。

このブログでは、自身がかき集めた知識や経験を共有する。クライアントへの提案やソリューション開発に直結しないガラクタのようなもの。将来再利用する自分のために。同じような悩みを抱える誰かのためにブログ「元外資系コンサルのガラクタ箱」を運営。

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