「ザ・ゴール 2 ― 思考プロセス」はベストセラー「ザ・ゴール」の続編です。前作で紹介されたTOC(Theory Of Constraints, 制約条件の理論)を生産管理の手法から、マーケティングや経営全般の問題解決に適用できる思考法へ発展させています。
本記事では、書籍の中で扱われるTOCや思考プロセスのエッセンスを簡潔に紹介します。企業組織で課題解決に取り組まれている方が、ザ・ゴール2のエッセンスを短時間でキャッチアップすることを目的に書いています。
世の中には解決策が見つからない問題があふれています。主人公の恩師ジョナは、感情的になり相手の性格を責めるのではなく、解決策が見いだせない状況なのだと頭を切り替えるよう言います。
問題解決のための「思考プロセス」とは何か
解決策が見つからない問題には、多くの場合対立構造がひそんでいます。それをクラウド(雲)と呼ばれる図を書き、共通の目標を見つけ出すことで対立を解消します。これ以外にも、様々なツールを使いながら問題を解決していくのが、思考プロセスです。
娘との対立をクラウド図を書いて解消したジョナは、「TOC理論を応用した思考プロセスは、あらゆる場であらゆる問題に応用することができる、と言いました。
UDE(好ましくない事象)とは何か
問題はそれぞれに独立しているのではなく因果関係で結びついています。また、「問題」だと考えられるもののほとんどは「現象」に過ぎないことが多く、この好ましくない事象のことをUDE(ウーディー, 好ましくない事象, Undesirable Effects)と呼んでいます。
思考プロセスでは、UDEをリストアップして因果関係を図にして現状ツリーを作成します。現状ツリーを作ることで、すべてのUDEの原因が1つか2つの「根本」となる問題にあることが明らかになります。
多くのUDEは「根本」の問題から派生している現象に過ぎないため、たくさんのUDEを1つずつ消そうとするより「根本」の問題に集中して取り組む方が効果的です。そこでまずは「根本」をはっきりさせていきます。
DE(好ましい事象)とは何か
現状ツリーを作ると問題の全体像がわかり、何を変えるかがハッキリします。
好ましくない事象であるUDEを逆手にとり望ましい事象(Desirable Effects)を考え、DEをつなげて図式化して明るい未来をどう創造するか考えるために使えるのが未来現実ツリーです。
移行ツリーとは何か
未来現実ツリーをいきなり見せてもかえって警戒されてしまう可能性のほうが高いです。
それを防ぐのが現在から未来に向かって実行していく手順を考えるための、移行ツリーです。
相手の要望と現実を比べてそれに対応できる行動を考えていきます。
これにより顧客VS自身という対立ではなく顧客&自身VS問題という構図に変えて味方にすることができます。
ザ・ゴール2で登場する様々なツリーまとめ
クラウド以外にも、本書では様々なツリーが登場します。
- 現状ツリー・・・UDE(Undesirable Effects, 好ましくない事象)をリストアップしてその因果関係を図にしたもの
- 未来現実ツリー・・・UDEをDE(Desirable Effects, 好ましい事象)に変えてつなげていく。
- 移行ツリー・・・現在から未来に向かって実行していく手順を考えるためのツリー
- 前提条件ツリー・・・目標を達成するために必要な中間目標をはっきりさせるためのツリー
思考プロセスを使うメリット
これらを用いることで、事象と因果関係を可視化し考えを進めることができます。
可視化することで、一人で堂々巡りするのを避けるだけでなく、複数人でアイデアを出し合い、解決策を考えることが可能になります。
おわりに
ザ・ゴール2のエッセンスはここまでです。物語の結論は原作をお読み下さい。そして、本書で紹介されていた思考プロセスを使ってみて下さい。
◆コミック版も発売されています。登場人物や舞台設定も日本版に変更されており短時間で理解しやすくなっています。
◆「思考プロセス」についてもっと知りたい方にはこちらもお勧めです。
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