元外資系コンサルのガラクタ箱

【書評】システムの問題地図~「で、どこから変える?」使えないITに振り回される悲しき景色

働き方改革に湧き立つ日本では、沢渡あまね氏の本が」ブームです。

既刊「仕事の問題地図」、「職場の問題地図」は、IT業界の悲しき「あるある」を痛快に問題提起し、解決策を提案してくれていました。

とはいえIT以外の仕事や職場にもあてはまるよう汎用的に書かれているがゆえ、IT業界特有の事情についてもっと語って欲しい!という要望も少なくはなかったかと思います。

こうした読者(私も含めた)の期待に応えてくれる1冊が発売されました。

『システムの問題地図~「で、どこから変える?」使えないITに振り回される悲しき景色』は、IT業界における情報システムの企画、構築、運用に関わる問題を浮き彫りにした著者渾身の一作です。

著者ブログによる案内記事です

新刊発売のご案内~『システムの問題地図』

目次紹介

目次をご覧いただくと一目瞭然ですが、情報システムの現場で聞こえてくる残念な言葉が目白押しです。これらの言葉にイラっとしたことがある方、あるいは耳が痛い方のいずれにも手にとってほしい1冊です。はじめに ~ どうして生まれる!?「使えない」「使われない」残念な情報システム
1丁目 「だれのため?」「何のため?」のシステム
2丁目 無駄にハイスペック
3丁目 「とりあえず作っとけ!」
4丁目「抜け」「漏れ」だらけ
5丁目 「俺ら,ITシロウトだから!」
6丁目 必ず火を吹く
7丁目 「仕様ですから」「言われていませんから」
8丁目 システムの仕事にいい人材が集まらない
おわりに

この本の使い方

前作『職場の問題地図』の著者のブログ記事にもあるように、問題地図シリーズの使い方は、3つのステップがあります。

ステップ1)全体マップを眺めて、問題点の「アタリ」をつける

ステップ2)アタリをつけた章をじっくり読む

ステップ3)職場で実践する

とはいえ、いきなり職場で実践するのはハードルが高いかもしれません。

しかし、職場の雑談や飲み会の場で話題にのぼること、あるいは唐突に上司や上位マネジメントから現場が抱える課題について意見を求められることは、いつ訪れるかわかりません。

刺さるキーワードや、使えそうな解決策は普段使うノートや手帳にメモしておくとよいですよ。

メモをきっかけに自分なりの提案が生まれてくることもありますし、誰かの発言が思いがけないよいアイデアなこともあります。

この本が、皆さんの現場の問題を解決し、よりよい現場をつくっていくきっかけになれば幸いです。

この本の「おわりに」を特に読んでほしい

本を読むとき「おわりに」や「あとがき」を最初に読む方もいらっしゃると思います。

最初から順に読む方が万が一たどり着かずに途中で読むのをやめてしまわないようお伝えしておきます。

この本の8丁目と「おわりに」は特に著者の想いが強く込められていると感じます。

ユーザーやベンダー、開発や運用など、立場間での喧嘩やすれ違い、もういい加減にしようぜ!という強い想いです。

なあなあで済ませようとしているわけではありません。会社や立場を超えた真剣な議論をし、システムの仕事を本気でよくしようと提唱しています。

私もすばらしきシステムの明るい未来を信じています。

 

コンサル、ベンダー、運用を経験して感じる相手の尊重と外を知ることの重要性

mhisaeda

電子書籍「システム導入のためのデータ移行ガイドブック」著者。

新卒から外資系コンサルティングファームに所属。15年に渡り販売物流、特にCRM領域のコンサルティングに従事。 100名を超えるプロジェクトのPMOなど全体を推進していく役回りや、ユーザ企業への出向を通じた実務経験を持つ。

このブログでは、自身がかき集めた知識や経験を共有する。クライアントへの提案やソリューション開発に直結しないガラクタのようなもの。将来再利用する自分のために。同じような悩みを抱える誰かのためにブログ「元外資系コンサルのガラクタ箱」を運営。

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