元外資系コンサルのガラクタ箱

ティール組織の自主経営をバリューチェーンにあてはめる(5分読書#48)

ティール組織の自主経営の章で紹介されてるプロセスがどうも腑に落ちなかったんです。

なんだか網羅感がないというか構造的でないというか。

あんまり使いたくないですがMECEじゃなさそうというか

以前にこういう記事を書いていまして、

ティール組織の自主経営を実現するプロセス(5分読書#35)

先の記事では、

とプロセスになりそうなものを抜き出してみました。他は、それを補う「留意点」(勝手に名づけました)に分けてみました。

しかし、相変わらずしっくりこなかったので、本記事ではこのプロセスを、バリューチェーンの軸で見るとどうなるのか考えてみます。

先に結論をお伝えすると、バリューチェーンでの整理は違う、というのが明確にわかりました。

筋のいい方には、「なんでこんな馬鹿なことしてるんだろう?」という記事かもしれませんが、私の頭はすっきりしたので、もし似た感覚をお持ちの方がいれば参考になるかも!

バリューチェーンとは

バリュー・チェーン(Value Chain)は、原材料や部品の調達、商品の製造や加工、出荷配送、マーケティング、顧客への販売、アフターサービスといった一連の事業活動を、個々の工程の集合体ではなく、顧客に提供する価値(Value)の連鎖(Chain)として捉える考え方です。

考え方を提唱したのは、マイケル・E・ポーターです。1985年に発行した著書『競争優位の戦略(Competitive Advantage)』の中で初めてバリュー・チェーンという言葉が用いられました。

では実際に見ていきます。

バリューチェーン

大きく、主活動支援活動に分かれます。主活動は、商品製造やサービス提供など生産から消費までの一連の流れに直接的な関係がある活動です。支援活動のほうは、直接的な関係を持たず主活動の支援を目的として行われる活動です。

主活動

支援活動

ティール組織の自主経営のプロセスをあてはめてみた

以下のようになります。

そして、以下は上記にあてはまらなかったもの。同時に、全てにあてはまるもの

購買物流のプロセスにおいて、意思決定、購買、投資、実績管理・・といった上記のすべては関わってきますよね。

結論、ティール組織の自主経営で紹介されているプロセスは、バリューチェーンの個々のプロセスそれぞれに関わるのです。

つまり、自主経営に関わるプロセスとして挙げられているものを、バリューチェーンの軸で整理する、という試みは大変にセンスのない、無意味な行為だったということがわかります。

さらに、前記事で留意点として別出ししていた

も同様に、全プロセスに関わることがわかります。

終わりに

自主経営というぐらいですから経営資源であるヒト、モノ、カネ、情報などの軸で見たほうがよかったのかもしれません。いや、これまたいまいちでしょう。こうした経営資源がどのように最適配置されていくのか、そのあたりも組織に属する人たちの自主経営によって最適化されていくような気がします。

ティール組織、奥が深い。。

そして冒頭のMECEじゃない感って筋違いだったなあとあらためて。

ところで、新卒で入社したコンサルティング・ファームでも、大手ITベンダーもその後に属している組織でも共通して言われる「リーダーシップが大事」というのはこの自主経営に通ずるな、ということがなんか急に腑に落ちました。もちろんオレンジ的な実力主義や説明責任もありますし、グリーン的な権限委譲もありますが、自主経営の発想って取り入れられているように感じます。

ティール組織における役割は約束の文書化でつながっていく(5分読書#49)

 

mhisaeda

電子書籍「システム導入のためのデータ移行ガイドブック」著者。

新卒から外資系コンサルティングファームに所属。15年に渡り販売物流、特にCRM領域のコンサルティングに従事。 100名を超えるプロジェクトのPMOなど全体を推進していく役回りや、ユーザ企業への出向を通じた実務経験を持つ。

このブログでは、自身がかき集めた知識や経験を共有する。クライアントへの提案やソリューション開発に直結しないガラクタのようなもの。将来再利用する自分のために。同じような悩みを抱える誰かのためにブログ「元外資系コンサルのガラクタ箱」を運営。

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