新システムを導入する時には多くの場合、現行システムからデータ移行を行います。仮に新規で業務を行うとしても事前にデータを作っておき、稼働前に一括インポートを行います。稼働後に全て手で大量にデータ入力するのは非効率です。
しかしシステム屋さんに全てをお願いするわけにはいきませんし、別費用になりますし、何より移行で失敗してつまづくわけにはいきません。また、システム導入経験の少ないコンサルタントが移行チームを担当する場合、移行特有の事情を理解せずに進めると痛い目を見ることがあります。
本記事ではデータ移行タスクを概観し、次記事以降のシリーズで詳細を説明していきます。移行で不幸になる人を撲滅することが私の切なる願いです。
データ移行は、新システムのデータ構造にあわせて業務データを用意してインポートを行います。ステップで書くと以下の通りです。
- 現行システムからデータを抽出する
- 新システムに合わせてデータを変換する
- 新システムにデータを取り込む
以下それぞれのステップの詳細を説明します。
現行システムからデータを抽出する
- 現行システムのデータを抽出対象と対象外に分ける
- 抽出対象のデータのみをファイルやテーブルに出力する
- 出力時に、一部項目の編集やヘッダレコード、フッタレコードの追加を行う
新システムに合わせてデータを変換する
新システム導入に合わせて業務を変えることは多いです。業務を変えなくても、現行システムで紆余曲折あってやむなく済ませていた内容を新システムで実現することは少なくありません。
- 現行システムの1行を複数行に分割する
- 現行システムの複数行を1行に統合する
- 項目値の編集を行う
編集した結果を検証する仕組みを設けることもあります。異常値を検出したり、集計し比較するのです。
新システムにデータを取り込む
- 変換後のファイルやテーブルからデータ取込を行う
取込が完了したら変換後同様に検証を行います。取込み処理の結果が正常かと、実際に取り込まれたテーブルを見たり、画面でデータを参照も行います。
さらに移行データを使って帳票出力や後続の業務ができるかなど検証は尽きませんが、これらはテストやリハーサルで事前につぶしておくのが前提です。
そのうえで、それでも本番環境ならではの何か(ありがちなのは本番環境向けの設定が漏れていたり)がないかを検証します。
全て終わればデータ移行は終了です。
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本記事にあるようなデータ移行の現場に役立つノウハウを実体験に基づいてまとめました。